人と食のはなし

宮城県石巻で50年以上にわたり、こだわりの缶詰を作り続けている老舗メーカー、木の屋石巻水産。
創業以来、厳選した原料と手詰めにこだわった製法で数多くのリピーターを生む日本百貨店でも人気のメーカーだ。
震災によって本社・工場が全壊する被害から見事に復活し、今なお魅力的な商品を世に送り出している。
今回はそんな木の屋の缶詰に迫ってみた。お話を伺ったのは営業の只野さん。(シャイな只野さんの写真はない、、、)

2013年に完成した新工場。鯨をイメージしている

たかが缶詰と侮るなかれ。保存食というイメージを一新する美味しさの木の屋の缶詰。
あまりの美味しさに感動して入社する人もいたという!
その秘訣はなんといっても「手詰め」にある。製造される全ての商品は人の手によって詰められている。
その際、魚の固いスジ部分を取り除きながら缶詰の大きさにちょうど合うよう切っていく。
手間がかかる作業だが、そうすることで食べたときの柔らかさが全く違うという。

手早くちょうど良い大きさに切るには熟練が必要。最低1年はかかるとか。

ひとつひとつ丁寧に詰めていく

美味しさの秘密はそれだけではない。さば、いわし、さんまの缶詰については、なんと朝獲れた魚をその日の昼には缶詰にしてしまうという!木の屋独自の「フレッシュパック製法」で新鮮さを閉じ込めている。
一般的な缶詰は冷凍の魚を使用するため、解凍時に旨味がドリップとして出てしまいパサパサとした食感になってしまう。
一方、木の屋の缶詰がしっとりとして美味しい理由はここにある。

缶詰だって鮮度が命

味付けにも妥協を許さない。「うちの缶詰はタレで食べさせたりしない」と只野さん。
使用している醤油と味噌は地元石巻の老舗「高砂長寿味噌本舗」のものだが、濃いめの味付けでごまかすことはなく、素材を活かすシンプルな味付けで魚の旨味を引き出している。

鮮度の良い魚を詰めているため、寝かすほど味が馴染み熟成するという。
「缶詰の賞味期限は3年、残り1年を切った商品は売れないので市場に出ることはまずないけど、本当は賞味期限ギリギリのものが凄い美味しいんだよ!このあいだ震災時に流された5年前の缶詰が見つかって食べてみたけど、熟成していてとても美味しかった!!」と笑う。

震災から5年が経ったいま、木の屋は前を向いている。「これからは震災のイメージがなくてもやっていけるようにしなくちゃ」。

シンボルマークだった巨大タンクも津波に流された

瓦礫の下に埋もれた缶詰を洗って売ったというエピソードは缶詰ファンの間で語り継がれている

積極的に新商品を開発し、震災前ほどではないがラインナップも充実してきた。
そこには以前のような姿に戻るといったノスタルジックな雰囲気はなく、あるのは新しい木の屋を作っていくという意気込み。
意識しているのは「今までの木の屋にないもの」。往年の木の屋ファンを大事にしつつも、これまで缶詰に縁がなかった若い人たちにも食べて欲しいという。

木の屋っぽくない!?可愛いデザインの缶詰は女性にも大人気

最近は新しい味付けや可愛らしいパッケージで新たなファンを獲得している木の屋。次はどんな缶詰を出すのだろうか。
こっそり聞いてみても教えてくれなかったが、一つ言えるのはこだわりが詰まった缶詰だということ。いちファンとして楽しみに待っていたい

木の屋石巻水産
〒989-4206
宮城県遠田郡美里町二郷字南八丁2-2
TEL:0229-29-9429
writer's profile
日暮 学
2017年10月20日

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