人と食のはなし

可愛いパッケージとこだわりの手作りソースによる絶妙な味付けで人気のお菓子、ひなのやのパン豆。
洗練されたデザインが印象的なパン豆だが、意外にも愛媛県の小さな田舎町で作られている。

ひなのやのある愛媛県の東予地方ではポン菓子のことをパン豆と呼び、結婚式の引き出物として古くから親しまれている。

松山市内から車で走ること1時間、西条市丹原町にひなのやはある。
長閑な田園風景のなかポツンと、緑に囲まれるように古民家が佇んでいる。

ポン菓子ありますよ

この家で代表の玉井さん初め、店長の村上さん他数人のパートのおばちゃんによってパン豆は作られている。

右から代表の玉井さん、店長の村上さん

この日は代表の玉井さんに案内していただいた。
パン豆作りはポン(=お米を膨らます)するところから始まる。
ポン菓子機にお米を入れ圧力鍋の要領で加熱する。圧力が高まったところで蓋を叩いて開け一気に解放。
バーン!という爆発音とともに膨らんだお米がいっせいに飛び出す。

ポンどころではない爆音。煙と供にに香ばしい香りが漂ってくる

この作業は基本的に玉井さんの仕事。使うのは一台だけ、何度も何度も繰り返す。
「これ1台で全国に出荷する分のパン豆を作ってるんですよ。もう必死に爆発させてます(笑)」と玉井さん。
近所のことも考えて午前中だけ行っているというが、静かな農村に爆音が何度も響き渡る光景はなんともと想像しがたい。

次は手作りソースによる味付け。
秘伝のレシピをもとに一からオリジナルソースを作る。
パン豆の味を決める重要な工程だが、なんと調理しているのは近所のパートのおばちゃん!玉井さん曰く、スーパーおばちゃんなんだそう。
さらに驚いたのは、使っている調理器具は業務用ではなく一般家庭にあるものばかり。

「お母さんが子供に手作りおやつを作る感覚に近いです。そもそも設備もないし、そうするしかないんですけどね」という。

ソースを絡めて、手際良く袋に詰める。もちろん手作業。

本当に何もかもが手作りだ。

「特別難しいことはしなくても、良い材料を使って丁寧に手作りで作れば自然と美味しいものが出来るんです。」という言葉が印象的だった。
生産性や効率性を優先する今の時代になかなか出来ない事が、ここでは当たり前に行われている。
そんな当たり前のことを玉井さんはとても大事にしていて、パン豆にもその思いは込められている。

「美味しいお菓子屋さんになりたいというよりは、パン豆を通じて何かを発信できればと考えています。それは地元の伝統だったり、ライフスタイルだったり。パン豆が田舎と都会をつなぐ道具になってくれれば嬉しいですね。」

地域に根ざしたお菓子作りを続けるひなのや。地元住民からも人気だ。

ひなのやを訪れて感じたのは原風景のような懐かさしさだった。
遠く離れた東京でパン豆が支持されているのも、きっとそういった思いを感じるからだろう。
玉井さんがパン豆に込めたモノとコト、それを伺うことができた一日だった。

ひなのや
〒799-1353
愛媛県西条市三津屋南11-8
TEL:0898-35-5628
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日暮 学
2017年10月20日

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