人と食のはなし

岐阜県下呂市。

日本三名泉にも数えられる下呂温泉で、「冷酒・お燗ちょうだい」と注文すれば出てくる「地の酒」がある。
天領酒造。創業はなんと1680年。
地元で古くから愛されている、下呂を代表する酒蔵だ。

岐阜は知る人ぞ知る「清流の国」。
豊富な水資源は、美濃和紙や関の刃物などの工芸品や、米作りや酒造りなど様々な伝統文化を育んできた。
清らかな水と岐阜の伝統文化は、切っても切れない関係なのだ。

営業担当の佐々木さん

天領酒造で出迎えてくださったのは営業担当の佐々木さん。

天領酒造のお酒は、飛騨エリアの中でも特徴があるという。

「うちの酒は甘めなんです。このあたりは飛騨市と高山市と下呂市と白川村、この3市1村があるんですけど、下呂よりの北の方、富山寄りの3地域になると辛口が好きで。」

———下呂と高山、そんなに離れてないですよね?

「ここから高山まで車で一時間くらい。それでもかなり違いますね。この先に『宮峠』というのがあるんですが、高山などの宮峠以降は水が日本海側に流れていく。宮峠から下呂の方面は太平洋側に流れていくんですね。もしかしたらそういった水の違いかもしれません。あとは柔らかい地下水を使用しているので、甘い酒ができるのかもしれません。」
酒造りで使用する天然水は、硬度15、pH値7.0の超軟水。ここでも地域の資源が生かされている。

———主にどういった酒米を使っているんですか?

「このあたりは『ひだほまれ』というお米があるんです。お酒を作るのに適したお米で、芯白という部分が大きめです。酒米は食べてもパサパサしてて美味しくないですよ。
山田錦とか王道のお米を削っていると、お米の芯白って小さくて丸いんですけど、ひだほまれは歪でちょっと大きめなんです。なので、山田錦は20%台まで磨けますが、ひだほまれそこまで削ると割れちゃうんですよ。45%とか40%ぐらいが限界のお米ですね。酵母も関係するとは思いますが、ひだほまれは旨みのある、フルーティーなお酒ができると思います。」

さらにこだわりは精米にも。手間のかかる精米工程は業者などへ委託するのが一般的だが、仕上がりに不安があるため、自社で精米を行っている。こうすることで安定した品質を保つことができる。

———土地の水と、お米と、酵母の組み合わせが味を決めるんですね。

「そう。あとは『人』ですね。やっぱり杜氏さんや職人さんの感覚や経験ってすごいと思います。
お米を洗うのも、ストップウォッチを持って秒単位で手洗いしています。合図出して一気に水を切らないと、どんどんお米が水吸っちゃうから。昔、暖房設備が整ってない頃は、1シーズンお酒造りが終わるまで杜氏さんが2階で寝泊まりしてて。夜冷えると下へ降りて、練炭焚いてタンクを温めた、っていうのを聞いたことがあります。
細かい所はそういう人の『感覚』ですよね。温度と水とか、米の出来も全然違いますので、それを毎年瓶詰めするのは同じ品質に持っていく。出来上がるものは毎年同じものを作らないといけない。やっぱり『人』の技だなと思いますね。」

天領酒造の佐々木さんは下呂出身。名古屋の大学を卒業後、生まれ育った下呂へ戻ってきた。
「大学出て、地元で就職したいなと思っていて。それで、社長に声をかけてもらって就職しました。でもご縁というか、私もお酒大好きで。天職ですね。」

清らかな「水」と、それが育んだ「米」を使い、「人」が酒を造る。
土地の自然を愛し、土地の恵みを活かして、天領の酒造りは続いてきた。

昔からの方法を大切にしつつ、現代の感覚を取り入れながら、今日も下呂で真摯に酒造りと向き合っている。

天領酒造株式会社
岐阜県下呂市萩原町萩原1289番地の1
TEL: 0576-52-1515
FAX: 0576-52-3727
writer's profile
小熊 亮人
おぐま あきひと/埼玉県さいたま市生まれ
2017年10月17日

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